【シンポジウムのご案内】 国際バカロレア(IB)教育の「今」と「未来」を語ろう

〜TOKに関する報告で登壇します〜

2015年10月31日(土)国際基督教大学 本部棟204号室
10:00~16:00

【シンポジウム】 国際バカロレア(IB)教育の「今」と「未来」を語ろう

ICU教育研究所の主催でIBに関するシンポジウムが開催されます。私もIBのTOKにて取り組んでいることを報告をいたします。

ぜひ興味・関心のある方へもシンポジウムのご案内をお願いいたします。また、久々の上京も兼ねて日頃よりお世話になっている皆様にお会いできることを楽しみにしております。

ちなみに主催者、多くの登壇者が大学時代やIBワークショップで指導を受けていた先生方で恐れ多いです。また、前任校の武藤先生との一緒のお仕事でもあるのでそれも楽しみです。

もちろん発表も大事なのですが、ここで新たに出会う教育関係者との今後のコラボが楽しみですね。

詳細はリンク先をご覧ください。
http://web.icu.ac.jp/iers/lecture/

既存の知識を再検討する(Risk-takers)

IBでは、グローバルな視野をもつ人間の育成を掲げています。具体的に、どのような人間に育って欲しいという思いは、明確な学習者像(Learner Profile)として提示されており、学びを通じて次のような理想な人間になることが求められています。

― 探究する人(Inquirer)
― 知識のある人(Knowledgeable)
― 考える人(Thinkers)
― コミュニケーションできる人(Communicators)
― 正義感のある人(Principal)
― 心をひらく人(Open-minded)
― 思いやりのある人(Caring)
― 挑戦する人(Risk-takers)
― バランスのとれた人(Balanced)
― 振り返ることのできる人(Reflective)

上記の中でひとつを取り上げるとすれば、これからの時代において挑戦する人(Risk-takers)になることは、複雑な現代的課題に立ち向かう上で重要なことでしょう。これまでに「正しい」と考えられていたことに対して敢えて疑問を投げかけてみる勇気こそが、IBの学習には必要です。言葉では簡単に言えますが、実際に自分の間違いを発見することにはかなりの抵抗を感じるかもしれません。それは、長年に渡って形成してきた自己の知識を否定することであり、その枠組みを大きく壊すものかもしれません。一方で、その見直しの必要性を感じる学習者自身もいることでしょう。しかし、そのような葛藤を乗り越えて、知識の探究のためにこれまでの考えを改め直してみる姿勢こそが今の時代には必要です。様々な価値観が交差するグローバルな社会の中で、既存の考えの間違えを受け入れ、どのように修正していくのか。その学びのプロセスは、どの学問分野にも通じるものでしょう。その要の学習こそが、TOKでの学びになります。

知識の広がりを問う問いの設定

今回は、私が普段受け持っている専門の教科である国語を例に知識の広がりを問う問いについて考えてみたいと思います。

定期テストや受験で問われる国語の設問の典型例とは何でしょうか?
考えてみると次のようなものがそれに当てはまるかもしれません。

「指示語が指すものはものは何か?」
「◯◯という言葉の反対の意味を答えよ」
「傍線部と同じ内容の一文を抜き出せ」
「◯◯物語の作者は誰か?」
「次の中から本文と合っている内容を選べ」

果たして、この問いの先にはどんな学習者の知識の深まりが待っているのでしょうか?
それが問われないまま(もしくは意義が見出されないまま)、「正解が1つ」という評価の効率主義の名の下に
これまでの試験問題が作られていたのかもしれません。

教師の都合をいってしまえば、「正解が一つでないと、成績の序列や入試選抜などできない」ということかもしれせん。
ただ、評価の在り方は本当にそれで良いのでしょうか?

では具体的に開かれた問いとはどのようなものが考えられるのでしょうか。
たとえばIBの文学では、学習した作品をもとに次のような問いに取り組むことが求められます。

「小説や物語においては、テーマやイメージが繰り返し用いられているが、
あなたが学習した作品では、それがどのように用いられ、作品にどのような効果的を
与えているのか。あなたが考えることを述べなさい。」

このような問いを考えるにあたっては、作品への深い理解と考察が必要となります。
そして、その問いと向き合っていく中で、導き出せる解釈は学習者の数だけあるでしょう。
まさに、考える力を問われる開かれた問いがIBの設問にはあるのではないでしょうか。

その中心となる思考力を育むIBのコア科目こそTOKになります。

国際バカロレア教育への期待 ~日本語TOKを軸にして~

近年になって、日本国内においてグローバルな人材を育成していくという観点から、国際バカロレア教育(以下「IBプログラム」という)への関心が高まっています。それは、学校教育としての関心にとどまらず、生涯学習の観点からも注目されています。

IBプログラムを端的に述べるのであれば、国際基準の教育カリキュラムといえるでしょう。それぞれの国には、自国の学習指導要領がありますが、IBプログラムはその国の垣根を越えた国際標準の教育カリキュラムの構築を目的としています。

現代的な課題がボーダレス化して複雑化していく中で、自国の問題としてとらえるだけでなく、地球規模の視野を持って物事を見据えていく必要があります。その前提としても、人々の多様な文化への理解と尊重する態度の涵養は重要であり、地球市民として平和な世界を築いていくことのできる人間を育てていくことに、教育は真剣に取り組まなければなりません。

そのためにも、これまでの教育の在り方を再点検して、これからの時代を生きる子どもにとって、どのような学びが求められてくるのかを教育に携わる者として考えなければならない時期に来ていると言えるでしょう。

このESN研究会では、IB・DPプログラムのコア科目「TOK」への理解を軸として、これからの学びの在り方を皆さんと一緒に考えていくコミュニティーを形成していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

小澤 大心